××倶楽部
聖夜が今よりうんと男の子だった頃。私たちが通う附属の私立学校で、聖夜はずば抜けた美少年と噂されていた。
愛想がよくて、優しくって、そんな聖夜に堕ちていく女の子なんて掃いて捨てるほどいる。
「また女みたいだって言われたんだ……髪切ろうかなぁ」
黒く艶のある長めの前髪を摘まんでため息を吐き出す聖夜をよく覚えてる。
モテまくる聖夜に反感を覚えた男子たちのつまらない妬みだ。
聖夜と私は学年が二つ離れている。
あの頃はすごい離れた年の差みたいに感じていたけど、大人になってしまえば二歳の年齢差なんてたいしたことはない。
それでも、私は年上ぶって聖夜を慰めてあげたかった。