××倶楽部
伸びきったボサボサヘアーのお兄ちゃんは、パソコン画面から目を離さない。よく見ると、お気に入りのアニメを見ている最中だったらしい。それを停止させて、ウム、と小さく唸った。
こんなお兄ちゃんでも、私には世界にたった一人のお兄ちゃんで、お母さんや私には優しい。大好きなアニメの次に家族を大切にしてくれている。
典に話たら、お兄ちゃんには話しとけって言われたから、私はここ三日間の出来事を包み隠さず打ち明けることにした。
「お兄ちゃん、聖水って何かわかる?」
話の途中でお兄ちゃんの鼈甲フレームの茶色ふちのメガネがずり落ちた。
同じ縁ありメガネなのに、どうしてお兄ちゃんのそれと、社長のそれだと魅力が違うんだろう。兄妹だからかもしれないけど、お兄ちゃんのメガネは視力が弱いからだけのアイテムで、社長のはその綺麗な顔をよりセクシーに魅せるアイテムと言われても頷けてしまいそう。
「妹氏SM倶楽部に就職」
「お兄ちゃん! ツイッターに変なこと書き込まないでよ! ばか!」
「@紹介しろ、@女王様か?奴隷か?、@顔写真求ム……残念、アドバイスは特にできない」
「私は、お兄ちゃんの意見が聞きたいんだってば!」