××倶楽部
パソコンの明かりで照らされたお兄ちゃんの青白い顔が、私を睨みつけてきた。
「キャパシティオーバーだ。聖水って、聖なる水だろ?」
なんて頼りにならないお兄ちゃん!
「もう、いいよっ! お母さんにはまだ内緒にしてよね」
「芽依を困らせる奴がいたら、お兄ちゃんがネットで晒し者にしてやるから言えよ」
「そんなことしてもらっても嬉しくない!」
お兄ちゃんの部屋のドアを乱暴に閉めて自分の部屋に飛び込んだ。
わかってる。もう社会人なんだから、自分でどうにかしなきゃいけないことくらい。
わかってるよ……わかってるけど……
多分、私はずっとこうやってお母さんやお兄ちゃんや典に甘えて生きてきたから、こうして相談すれば、どうにかなるんじゃないかって思ってる。
面接を受けて、約束したのは自分なのに、それでも、だからって、なんでSM倶楽部に就職しちゃったんだろう。