××倶楽部

 ニコニコと笑いながら社長は、首筋をさする。


「いえ、謝らなくてもいいですよ。せっかく町田さんが急接近してくれたんだからキスでもしたほうがいいですか?」


「……え?」


 せっかく、で、キス?



 って、えぇえええ?



「けっこうです! なんでそういう発想になるんですかぁああ? それじゃ、私がキスして欲しいみたいじゃないですか! それに私が大切に守ってるファーストキス、そんな簡単に奪われるわけにはいきま…………って、ええ?」



 ばか、私! 動揺しすぎて、口が滑りまくってるよ!


「ファーストキス?」


 社長は、椅子をくるんと回転させると首を傾げた。

 黒縁メガネがちょっとだけ横にズレて、ニコニコ顔を真剣な表情にする。



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