××倶楽部

 運命の初出勤。出勤時間が午後一時なんてマイペースな会社だと思いつつ、私は地図を頼りに事務所があるビルへとたどり着く。


 株式会社マーベラス。ここだ、ここだ。よかった、よかった。と胸をなでおろし、そのビルの一階部分に大々的に飾られていた『SM CLUB MARVELOUS』の看板を見落とした。


 入り口にかかる小さなシャンデリアに、うわ、可愛い! と歓声をあげて、社長に教えられた通りに【STAFF ONLY】とかかれた扉を開けて中に入った。
 
 普通に机がいくつか置かれた部屋には社長一人しかいない。他の人は、まだ出勤前だと言う。



 じゃあさっそく仕事を……、その前にここは何のお店ですか? ああ、そうですね、いや実は…………という経緯から、私は壁に張り付いたまま、社長を睨みつけている。という事態におちいった。



「そんなに怖がらないでくださいよ」


「嫌! これ以上近寄らないでぇ!」



< 6 / 378 >

この作品をシェア

pagetop