××倶楽部
私と年齢的に近そうな社長は、参ったな、いつもこれだ……とネクタイを少し緩めてため息をついた。
参ってるのは、私の方だと思う。
「町田さん、安全安心ですよ。絶対に大丈夫」
「で、で、でも、ここは風俗店なんですよね? てことは、変なおじさんがいっぱい来るんでしょう!? しかも私、テレビで見たことあるんですけど警察二十四時間みたいな特番で、突入! とか、そういうのがあったりするんですよね?」
「あのね……この店は、僕の父親がはじめた店だけど一度だって警察の世話になったことなんてありませんから」
社長は説き伏せるように、身振り手振りをくわえながら必死に話を続けた。
「さっきも言いましたけど、風営法の届け出はきちんとしています。法改正のあともすぐに手続きをしました。税金もきちんと納めているし、申告だって少しも誤魔化したりせずにやっています。
ただ、僕一人ではどうしても限界があって、お客様へのサービス内容も充実させたいし、事務員が一人必要なんです。
お客様に変な人なんていません。うちは年収七百万以上、もしくは会社役員という肩書きのある方しか受け入れていません。完全会員制ですから」