××倶楽部

 私は、違う、違う! と顔の前で手を振った。


 典は私の顔の両脇を掴むと、「本気でキスされたわけじゃないのか?」と何度も訊いてくる。


「ファーストキス奪われたわけじゃないけど、社長はそういうの一緒に大切にしたいってさ……色々と。

 ねえ、いい人でしょ? 男の典から見て、どう思う」


 典は、また固まった。今日の典は、なんか変だ。いつもの典じゃない。


「どうしたの? 典、変だよ……」


「変なのは、芽依だ……」


「私? 私はただ社長が好きなだけで」


「うるせーよ! 好きとか軽々しく言うな! この尻軽女!」


「なっ? 典に言われたくないよ! 告白されたら誰とでも付き合うくせに! 今、何人彼女いるんだか知らないけど、そっちのほうが変だよ!」








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