××倶楽部
「とにかく、再就職先一緒に悩んでくれてありがとうね。だけど、私、決めたから! マーベラスで働く。お兄ちゃんにも話てあるし、いざって時は助けてくれると思うから」
典の凛々しい眉毛がハの字に曲がった。
「許せねぇ……」
「いいよ、だいたい典に許してもらわなくたって、私も大人だし自分のことは自分でどうにかしなきゃって覚悟したんだから」
「処女は大人じゃねーんだよ!」
「ひどいっ! 言い過ぎだよ!」
両肩を押すと思ったより簡単に典は尻餅をついた。口を開けば、処女は、処女は、って人が気にしてることを軽々しく口にする。
「典の言うことって説得力あるからきいてたけど、たまに横暴だよね」
「はあ?」
女王様たちから比べれば典の、はあ? なんて全然大したことない!
「もう典なんて、嫌い! 相談にだってのってもらわなくていいよ。どうせ、会社でもたくさん彼女作ってくるんでしょ?
私だってわかんないもん。もしかしたら、社長相手に脱バージンかもしれないじゃん!」
典の手のひらが飛んできた。
乾いた音がパシンとして、数秒後に自分が殴られたことに気がつく。
「お前……俺がどんな想いで芽依のこと大切にしてきたか……何もわかってない」
「そんなこと頼んだ覚えないよ! 殴るなんて最低!」