××倶楽部
5
────「町田さん、心して聞いてください」
「は、はい」
社長はメガネを人差し指でくいっと元に戻すと、ごくりと喉仏を上下させた。
うっ、うう、無駄に色っぽい。ノックアウト寸前の私は、卒倒しないように気合いをいれなおす。
社長が壁に貼り付けてある女王様たちの成績表を見上げた。その真面目な横顔も素敵。今日も都会的でスタイリッシュなスーツ姿も素敵。もう、全部全部が素敵だ。
仕事中に煩悩だらけの私は、頭を左右にふりながら、社長の話に耳を傾ける。
社長は赤いマジックで今週の女王様たちの売上記録をキュッキュッと書き加えた。
「なんと、今週はじめてミーナさんがリオさんの記録を抜きました」
私は深く頷いた。
赤いマジックは、ほんの一センチくらいミーナ様が上をいく。
「ってことは?」