××倶楽部

────ナンバーワン女王様記念週間となったマーベラス。今日から一週間は、オプションを一つ無料で追加できる。

 ソフトSM希望のお客様と、ハードSM希望のお客様で内容を変えようか……と社長が、首を捻る。

 だけど女王様たちにも得意なオプション、苦手なオプションがあるからお店に来てから女王様の意見に従ってオプションを追加するという何とも合理的な方法を思いついた社長は、すぐにネットで告知すると、次から次へと予約が入り、元々少なかった空きは三十分で全て埋まってしまった。


「社長って意外と商売上手ですね」

「そうですか? これは女王様たちが頑張ってくれてるおかげですよ」


 接客に忙しい女王様たちはスタッフルームにやってこない。さっきからパソコンを操作する音だけがやけにうるさい。



「そういえば、町田さん自転車通勤にしたんですか?」

「あ、はい! だめでしたか?」

「いえ、通勤方法は自由ですよ。ただ、この辺りは治安も悪いし、女王様たちは皆さんハイヤー通勤です。僕が送り迎えすることもありますし、町田さんのお宅にもハイヤーを手配しましょうか?」


「は、ハイヤー?」


 それって、タクシーより高級なかんじのタクシーってこと? 有り得ない。


「もちろん交通費は僕が持ちますから」


「え、いや、でも……そんな車で通勤してたら母がびっくりしちゃいますし。だ、大丈夫です」


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