××倶楽部
はーい、今あけまーす。と扉の向こう側で社長の声がした。
どくん、と胸が高鳴る。
「あ、ミーナさん、町田さん、お疲れ様です! すみません、僕閉店時間には顔出そうと思ってたんですけど、うっかり居眠りしちゃいました!」
社長は細くて癖のない髪を指先で乱暴に整えると、折り畳んであったメガネを広げていつもの定位置に装着すると、ズボンから出ていたシャツを慌ててしまったりとアタフタとしている。そんな社長も好きだと思ってしまう私はかなり重病だ。
「いーよ、聖夜。電気消して鍵締めてきたぞ」
社長の乱れ具合に、むっとしたのかミーナ様はいつもより乱暴な態度だ。
「町田さんも、こんな遅くまですみません!」
「いえ、それよりリオ様大丈夫ですか?」
「はい、リオさんは熱があって今奥で寝てます」
「リオが熱? 風邪かよ、このくそ忙しい時にさ。聖夜、顔だけ見てく。あがっていい?」
「あ、はい、どうぞ」
社長はすぐに大きく扉を開いた。草原の爽やかさにも負けず、いい空気が充満してるようだ……それは多分好きな人の部屋に入るからそう思うんだよね。