[完]初恋の人は死んでいた?!【短編】
「絶対いると思うんだけどなー」
もしかしてあの人は、ストーカー?
名前も知ってて、好きな食べ物も知ってて。
そこまで考えて、私はその考えを捨てた。
あそこまで素っ頓狂な人がストーカーなわけない、と。
その日もいつもと変わりなく過ぎていき、気付けば土曜日になっていた。
待ちに待った休日だ。
土日は受付嬢は完全に休み。
だから私は、お昼過ぎまで寝るのが日課だ。
今日も、そうやって寝ていた。
ジットリとかく汗が気持ち悪くて起きると、既に14時。
昨日は9時には寝たから、12時間寝ていたことになる。
寝過ぎて重い身体を起こし、障子を開け放ち、縁側に出る。
そこから庭を見渡していると、彼は来た。
「おはよう、彌さん」
「あ、あなた」
この間となんら変わりない、クスクスという笑みを見せての登場だ。
彼の笑みは、全てを見透かしているように見える。
「覚えてくれていたんですね」
嬉しそうに私の隣に腰を下ろす。
「逆に忘れるほうが難しいです」
すると、彼はハハっと笑った。
「それは、僕が好き過ぎて、ですか?」
私を覗き込む彼に、私はまたしても赤くなる。
「違います!
インパクトが強すぎてって意味です!」