[完]初恋の人は死んでいた?!【短編】
「…分からない」
見当も着かない私に、母は無理矢理笑顔を見せる。
「そ!
別に大したことじゃないのよ…」
……何かある。
それはすぐに察知出来た。
でもそれが何なのか、私にはまだ分からなかった。
***同窓会当日***
この日は昼間から、同じクラスだった秋原 麻由美と田原 美保の三人で、遊んでいた。
遊ぶと言っても、カフェでランチを食べたり、服を見たり。
ぶらぶらとするだけ。
だが、それがリフレッシュになる。
麻由美は既に一児の母。
美保も、彼氏と順調らしい。
「彌は?
誰かいい人見つかった?」
麻由美が、そんなことを投げかける。
その時思い浮かんだのは、もちろんあの人。
でも、存在しない彼と結ばれるわけもなくて。
「……ううん、全然ダメだ」
と、笑ってごまかす。
「彌ってまだ…」
そう言いかける麻由美を、美保が止めた。
「麻由美、やめとこうよ」
「え、なにが?」
私は話が分からなくて、美保に尋ねるが
「なんでもないのよ」
の一点張り。
最近、周りの言葉が分からなくなったらしい。