[完]初恋の人は死んでいた?!【短編】
その映像が終わると、なんとか楽になる身体。
「彌?…大丈夫?」
心配の眼差しを受け、私は何とか頷く。
…なんで、ゴンさんが、出て来たの?
頭のなかがゴチャゴチャだ。
「彌、これはちゃんと受け入れないと、だめだと思う」
麻由美が、ある写真を私に手渡す。
恐る恐る、その写真を見る。
そこには、
私とゴンさんの笑ってる笑顔が撮影されていた。
「……この男の子って」
「矢澤大夢」
その名前を聞いた瞬間、私の目から大量の涙が、こぼれ落ちる。
だからあの人は、私の名前も知ってたんだ。
だから、私の好きな食べ物を知ってたんだ。
彼は、死んでも私を、見守ってくれていたんだ。
あんなに切なそうな笑みの原因は、これだったんだ。
私は、溢れる涙を必死に押さえて、Barを出た。
ただ、気持ちの整理がしたかった。