[完]初恋の人は死んでいた?!【短編】
翌日
泣き腫らした目を見ながら、私はため息をついていた。
昨日はまともに寝ることも出来なくて、私は大夢にどう接したらいいのかを考えていた。
でも、答えは見つからない。
彼の人生は、私が奪ってしまったのだから。
しかも、ショック過ぎて、私はその記憶を消してしまっていた。
彼は、私に名前を聞かれたとき、どんだけ辛い思いをしたのだろうか。
…、それとも、私を憎んでいるのだろうか。
憎まれても、当然なのかもしれない。
私が呼び出したせいなのだから。
でも、こんなにいろいろ悩んでも、一つだけ、どうしてもやりたいことがある。
彼に謝りたい。
あの日から、私はずっと心の片隅に、その気持ちがあった。
記憶がどれだけ無くなっても、その気持ちだけは、残っていた。
私は、憎まれても、恨まれても、謝ることはしたい。
私は、そう思い、いつものように縁側で待っていた。
ただ謝ることだけを考えて。
下を向いて、彼の顔を思い出す。
霊になって現れた彼は、いつもどこか切なげだった。
あんな顔を、私がさせてしまっていたのかと思うと、胸が痛い。
冷たい風が吹く中、私は彼のことだけを考えていた。