[完]初恋の人は死んでいた?!【短編】
「おや、珍しく早起きですね」
ビクッと身体が反応し、ゆっくりと顔を上げる。
そして、ジッと彼の顔を見る。
変わらない、綺麗な顔。
大きな目が特徴で、実はコンプレックスな赤めの唇で。
彼は、私の知っている大夢そのものだった。
…なんで、今まで気付かなかったんだろう。
「彌さん、随分酷い顔してますね。
泣いたんですか?」
いつだって掴みどころがなくて。
淡々と話すくせに優しくて。
「彌さん…?
どうしたんですか?」
いつも私の味方で居てくれた。
大切な人だった。
私は、彼に抱き着いた。
腕を背中に回し、ギュッと。
この懐かしい匂いは、小学校低学年のころから知っている、彼だけの匂いだったんだ。
「大夢…、ごめんなさい…」
「え…?」
彼は、何が起きているのか、分からない様子。
でも…。
「きっと私のこと、恨んでるよね。憎いよね。
本当にごめんなさい…」
泣きながら、必死に謝る。
私は、1番大切な人を殺した。
「大夢は…、私のせいでっ……」
泣きながらずっと謝っていると、彼は私を引き離した。