[完]初恋の人は死んでいた?!【短編】
「遅いよ、ばかっ。
なんで死ぬ前に言ってくれなかったのよぉ…」
溢れる涙を必死に払い、彼を見つめる。
「私だって、ずっと大夢しか見れなかったんだからっ。
大夢が思ってる以上に、私は大夢が…
だいすきなんだよ」
どうして、生きているときに、私は伝えなかったんだろう。
こんなに愛おしいのに。
必要不可欠なのに…。
馬鹿だ、私。
「…彌のその気持ち、聞けて良かった。
僕、生まれ変わったら、今度こそ、彌と一緒になりたいよ…」
彼の涙が、私の頬に落ちる。
そして、彼の顔がゆっくりと下りてきて…
二人の影が、重なった。
彼は一気に光となり
空へ消えた。
その瞬間、泣き崩れる私。
何と無く、彼が成仏したのだろうと、察した。
伝えるのが遅すぎた、私の初恋は、光となり消えた。
庭には、私の嗚咽だけが響いていた。