[完]初恋の人は死んでいた?!【短編】
冷静を取り戻し、男と対面する。
…どこかで見たことあるような。
「すいません。
まさか、起きると思わなくて」
やっぱりクスクスと微笑む男。
「起きるとか、起きないとかの前に、不法侵入です」
それなりに力強く、目力を加えて言ったつもりだが、相変わらず、クスクスと笑っている。
理解不能な男だ。
「僕は、法律とか好きじゃないです」
「好きとか、嫌いとかじゃないでしょ。
守らなくちゃいけない事なんだから。
貴方、犯罪者よ?」
もはや、ため息すら出る。
この人には、普通の話しが出来ない気がする。
そんな私に、更に追い撃ちを掛けるかのように、男は畳へ寝転んだ。
しかも、遠慮一切なしの、大の字ときた。
これには、さすがに言葉を失う。
「なに黙ってるの?
ねっころがると、楽だよ?」
クスクスと笑いながら、私を見つめる男。
楽なことなんて、私が1番よく知ってる。
だって、私の生き甲斐だ。
……だけど、時と場合というものがあるだろう。
「もう、遠慮してないで、寝転びなよ!」
そう言われた瞬間、私の身体は大きく傾く。
そして、大きな衝撃とともに、私は彼の横に、寝転ぶ形になった。