[完]初恋の人は死んでいた?!【短編】
第2話
安らぎ
「おはようございます」
私は、いつものように、椅子に座る。
月曜日とは、憂鬱だ。
私が勤めているのは、王手玩具メーカー本社。
私の入りは8時。
既に、沢山の社員の方々が、出社している。
そんな姿を見ながら、思い浮かぶのは、昨日のこと。
あの人は一体誰で、何故私の名前を知っているのか。
そして、何故、こんなにも懐かしいのか。
あの人は、謎ばかりだ。
「兵藤さん、今日も可愛いね!」
ふと、顔を上げると、そこには営業課の横田さん。
私が入社したときから、話し掛けてくれてはいるが、正直気持ち悪い。
愛想だけを返すと、それに満足したのか、彼はフラフラとエスカレーターへ向かう。
不思議な人だ。
「彌さんって、大変ですねー」
今年入社してきた同じ受付嬢の、安田 美紗が、呆れ顔を私に向ける。
「どうして?」
「だって、彌さんって熱狂的なファンが多いじゃないですか」
そう言う彼女にも、ファンはいるのだが。
彼女のような甘フェイスは、私は憧れる。
「安田さんにだって、ファンはいるでしょう?」
それも私より遥かに大量に。
すると、彼女は満更でもない表情を浮かべた。