[完]初恋の人は死んでいた?!【短編】
それから時間は経ち、11時になろうとしていた。
そろそろ受付嬢も忙しくなる頃だ。
ウチの会社との会議にくる方や、縁談にくる方等、多々いろんな方が本社に足を運ぶ。
「あのー、営業課の斎藤さんに会いたいのですが」
ほら、来た。
相手は、クタクタのスーツを身に纏い、いくらか清潔感が失われている。
汗をびっしょりとかいて、それをハンカチで拭っている。
普通にいたら気持ち悪いと思うのかもしれない。
でも私は、一生懸命働いている感じがして、好きだ。
「はい、お名前をお伺いしても宜しいですか?」
「ああ、えっと。樫本工房(下請け会社)の樫本です」
「かしこまりました。少々お待ちください」
樫本さんの件を斎藤さんに連絡する。
と、営業課まで案内するように言われた。
……まじか。
めんどくさいな。
私は、もともとグータラ女なので、動くことが嫌いだ。
だが、仕事なら仕方ない。
「樫本様、営業課まで案内させていただきますね?」
「ああ。それは、ありがとうございます」
私は、彼と一緒に営業課まで行き、案内すると、再び1回に戻ってきた。