く ち び る
「っふ……うぅ、」
唐突だった。
保健室に入るなり七草くんはわたしを抱き寄せ、ベッドに押し倒し、キスの嵐。
その間にも手慣れた感じで制服を上だけ脱がせられてく。
やっと離れた時、飲み込み切れない唾液が口からだらしなく伝い、それを舌でなぞられた。
チロリと覗く赤い舌に体の芯がしびれてまた、キス、したくなって、わたしから近づけば逃げられた。
悔しくて睨むと、いつもの人懐っこい笑顔を見せて「いいこと教えてあげる」と言った。
「君を愛してる」
クスリ、と耳元で笑ったあと、わたしをうつ伏せにさせて背中のすぐ際で続けた。
「心臓を壊したいぐらいに」
チュ、と背中から心臓に向けていやに甘く響かせたリップノイズ。
とても愛しくて、つい背中に嫉妬してしまった。
fin.