く ち び る
早く成長して、精神的にも大人になって、自分を振った彼女を後悔させたいのだと。
彼の内側は小さな復讐の炎に満ちていた。
太陽を求めるヒマワリのように。
光に焦がれる蛾のように。
彼の内面に抗いようのないほど惹かれている自分がいた。
首筋に触れないギリギリの距離に迫る、彼の唇。
熱に浮かされたような熱い吐息が体中を駆け巡る。
「イチさん…」
いつになったらこの呪縛を解いてくれるの?
声の裏側に本音を隠して顔に感情を表さない彼は、とても美しくて愚かしい。