く ち び る
また、回想する。
―――――――…
「俺達、付き合わねぇ?」
放課後、二人きりの教室で、隣の席の大好きな幼馴染に、言われた一言だった。
本当に?
一瞬の疑いもすぐに消えて、私はただ頷く。
「う、うん―――」
…―――――――
自分の気持ちに気づいてから、もう七年も経っていたのだけど。
何も告げず、ひたすら想っていただけで。
だから、こんな想像だけで終わってしまいそうな日が、まさか来ようとは思っていなかった。
……私は幸せ者だ。
明日には、初めての“デート”を控えている。
今までも、幼馴染として二人で出かけることはあったけれど、それは共通の用事があったからで。
変わることの出来た関係が嬉しくて、私はなかなか眠れなかった。