く ち び る
七時半。予定通りの目覚め。
のんびりしている暇はない。学校に行く時と同じように途中まで準備をすませて、昨日の夜に選んだ服を着る。
……総レースは、やっぱりやりすぎ?
鏡を見て、ふと思い止まる。女の子らしいというか、もう派手の域だと。
昨日あれだけ雑誌と睨めっこして選んだワンピースのはずなのだけど、どうしても気になる。
これはさすがに、今までと比べても変わりすぎ。
今までの服装といえば、ブラウスにチノパン。ブラウスにジーパン。ブラウスに……。
―――ブラウスだらけ。
それに対して、突然白の総レースのワンピースは、どうしてもためらうものがある。
やっぱり、変えよう。
そう思って私が取り出したのは、つい先週買ったばかりの、淡いピンクのブラウス。
黒のボウタイ付きだったのだけど、一目惚れして三秒後にはレジへ向かっていた。
「うむ。これにジーパン…」
かくして、私の初デートの服装は、いつもと比べて何の変哲もないコーディネートになってしまった訳だった。
特別感なんてものは、一切ない。