く ち び る


「ううん…あ、お昼どうしよっか?」


「あー…俺今、ハンバーガーって気分じゃ無いからさ、パスタでいい?」


「うん」



 思いがけず簡単に、話題は変わって。


 特に食べたいものもなかった私は、すぐに頷く。


 並んで歩いてみると、手の甲が一瞬触れ合って。


 ……心臓が壊れそうなほ どドキドキしているのに。どうしても憧れる図。


 切り出せないまま、モールの中にあるパスタ屋さんに着いてしまった。


 ふう、と小さなため息が漏れる。



 言えないよ。


 繋ぎたい、なんて。



「……茜」



 注文が終わってから、料理が運ばれるまで、ずっと無言だったことにようやく気づいた。



「何?」


「何かさ…言いたいこと、我慢してない?」



  ―――図星を指された人間の、当然の反応。



「そ、そんなこと無いよ……?」



 何となく声が震えた、感じがした。


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