く ち び る
「言ってくれた方が嬉しい」
カルボナーラに手をつけるのを忘れて、私は彼を見た。
何も言えない私に構わず、クリームパスタを頬張るのを、黙って。
黙って。
「俺はさ、茜のことずっと好きだったし。今まで色々喧嘩とかもしたけど」
数分おいて、再び私に言葉を投げかける。
私も、そうだった。
ずっとずっと前から。
「ただの幼馴染だった時に言ってくれてたこと、いきなり言われなくなると…正直結構来る」
目線を落として、またクリームパスタを食べだした、彼を。
蓮人を見て、私は考える。
以前の私を。
比較してみると、すぐだった。
自分が、前と比べて、意見を言わなく…違う。持たなくなったことに、気づいたの は。
「……うん」
「今日だけで聞き飽きたよ」