く ち び る
「こんにちはー」
ゆっくりと扉を開けて
中を見渡す
あ、碓氷先輩だ
先輩は眼鏡をかけて本を読んでいた
「ん?宮間か?」
「碓氷先輩、今日は起きてるんですね!」
「昨日は早く寝たからなー
っていうか、それどういう意味だよ」
苦笑いを浮かべる先輩に、私は笑って誤魔化し話題を変える
「何読んでたんですか?」
「新しく図書室に入ってた本」
そう言って先輩は表紙を見せてくれた
表紙には『週刊!宇宙の謎』と書かれていた
先輩、相変わらずだな‥
私が入部してから、先輩が宇宙の本以外読んでいるのを私は見たことが無い。
「面白いですか?」
「うーん、まあまあかな。
宮間も読むか?
宇宙エレベーターの話なんだけどさ、俺的には‥」
「先輩ストップ!
私宇宙の話分かんないんで説明しなくていいです」
私が興味があるのは地球から見える星座だけだし、見えればそれでいい。
だから宇宙の話は分からない
一度だけ、先輩と同じ話がしたいと思って勉強したんだけど、私は文系だからどうも理系の話は小難しくて分からなかったんだ
「あ、そういえばさ。」
不意に声をかけられて
少し肩が上がってしまう
「はい?あ、もう本読まないんですか?」
「うん、知ってる内容だったから」
そう言いつつ閉じた本を鞄の中にしまった
私に気を使ってくれたのかな、
なんて都合良く考えてしまう