く ち び る


暫くして先輩らしき人が、ゆっくりとした口調で話だした



「まだ俺の名前言って無かったよな?俺は2年の碓氷 隆盛」

「よろしくお願いします」


「こちらこそ。
宮間さんはこの部活に入部する予定?」

「まだ、分からないです」



雰囲気は嫌いじゃないし、
バイトをするなら一番いい

ただ‥
2人きりは辛い、気がする


「先輩以外は誰もいらっしゃらないのですか?」

「え?あぁ、2年は俺だけ。
3年生はいるけど5月には引退するけど‥?」


あぁ、じゃあだいたいは2人って事か‥

どうしようー!


顔を下げてまたさっきみたいに先輩の口元を眺める

そんな私が気になったのか唐突な質問をされた


「宮間さんは星が好き?
それとも宇宙が好き?」


「あ‥私は星です。
星の区別はあまりできませんが、ただ見ているのが好きです」

「どうして?」



どうして‥?

どうしてだろう、
ただずっと前から星を眺めると安心するようになったんだ

月の明るさと星の淡い光が心をホッとさせた


あぁ、そうだ‥

「昔、迷子になったんです。

暗くて怖くて、私はずっとしゃがみこんで泣いてたんですけど
いい加減怖くて仕方なくなって大泣きしたんですよね。

その時たまたま空を見上げて、目に映り込んだ瞬く星と明るい月を綺麗って思ったんですよ。
なんか、暖かみがあってまるで母の温もりみたいな光が妙に安心したんです。

それから、星を見ると安心するようになってたんです」


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