く ち び る


あの日から一週間ほどたった

相変わらず部活に通う毎日



先輩とは恋人同士になったけど何も変わらない


前に約束したスズさんのプレゼントを買いに行くのも結局無くなってしまい、デートはまだしていない


手も繋がないキスもしない

まだ私は宮間と呼ばれる

恋人らしいことなんて何一つしていない



やっぱり先輩はまだスズさんのこと‥

当たり前だよね。

ずっと大好きだった人を1週間で忘れろなんて酷い話だ

私だって先輩のこと忘れろって言われても無理だもの


ゆっくりでいい、ゆっくりでいいんだから‥

そう言い聞かせて私は今日も部室へと足を運ぶ



「こんにちは」

「宮間!」

「わっ!」


ドアを開けたのとほぼ同時に先輩が走ってきた


何事かと思っていたら抱きしめられた


え、え、えぇ?
何で今抱きしめられてるの?

頭が混乱する


「先輩?!」

「おっと、悪い。」

「先輩、とりあえず中入りましょ」


パッと離れてしまった先輩を寂しく思いながらも中へと入る

いつもの定位置に座り、先輩を見る


「それで、どうしたんですか?」

「スズがさ、スズが戻ってきたんだ!」



は?
今何て言ったの?


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