く ち び る


「隆盛せん、ぱいぃ‥」


落ち着かない呼吸で先輩の名前を呼んでみる

私だってずっと呼びたかったんだ



「何?」

「へ!?」


後ろを振り向けばそこには先輩がいた

うっすらと汗を滲まし、呼吸も整ってない先輩


走ってきたの?
どうして?


「どうして?って顔してるな」


当たり前じゃないですか、
だって、何で?

近付いてきて私の涙を優しく拭う


やめて、優しくしないでよ


また目を見れずに視線下げてしまう


「こっちがどうして?だよ
いきなり部活辞めるとかいいだすし、キスするし」


「それは‥」


「何、やっぱり俺が嫌になった?」



違う、そうじゃない
私が先輩を嫌になるなんてない

「違い、ます」


「じゃあ、何で?」



私は邪魔者だから
きっとまた弱みにつけ込むから

だから近くにいちゃ駄目なんだ



「先輩にはスズさんがいるじゃないですか‥
私になんて構ってないで、スズさんのところ行ってあげたらどうですか?!」


「は?」



一気にまくし立てれば、聞いたことない不機嫌な声がかえってきた


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