く ち び る

「え?」




後輩として好きってこと?
恋人じゃなく‥?

浮上した気分がすぐに降下していく


あ、目頭が熱い
また泣いちゃいそう

目線が下がりまた唇を見つめてしまう


するとその唇がいつもと違う笑みを浮かべた


「へ?」

「俺、実は好きな子は虐めたい派なんだよな」



いつもからだったら絶対想像できないニヒルな笑顔

え、虐めたい‥誰を?


「秋のこと好きだよ、後輩としても恋人としても」


今、名前呼んでくれた
それより告白された?

突然の告白にまた頭がこんがらがる


結局涙はうれし涙となって溢れ出した



「で、秋は俺のこと好き」

「当たり前、です」


もう一度、同じ質問をされる

「好き?」

「はい」


何度も首を縦に振るけれど、先輩は未だに意地の悪い笑みを浮かべて聞いてくる


「すーき?」

あぁ、これは‥

「す、す‥好き、です」


「よくできました」


頭くしゃくしゃに撫でられて額に唇を当てられる


「ふひゃあ!」

「変な声」


だって、だって!

先輩がキスなんてするから‥
おでこだけど、


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