ショートストーリー
 
「…へ?」

「そのまぬけな顔なんだよ。
人が勇気を出して告白したっていうのに。」

「だ、だってびっくりして。」

嬉しくて。


「まあ、お前の顔がどんなにまぬけでも好きだ。」

「失礼だよ!」

「ごめんごめん。」

笑いながら謝るあいつの顔は、私の大好きな笑顔だった。


「あたしも、月島さんが好き。」

「…へ?」

「あんたもまぬけな顔してるじゃん。
お互いさまだね。」

「だな。」

そう言ってあいつは、初めて私のためにあの笑顔を向けてくれた。

それは月の光に照らされて、今までで一番素敵な笑顔だった。
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