ショートストーリー
「もしかしてさ。
君って人見知りするタイプ?」
「え?どうして?」
「顔。真っ赤だよ。」
穴があるなら入りたかった。
でも穴がない。
自分でも、顔が更に赤くなっていくのがわかった。
あーもう、恥ずかしい。
「クールな女性かと思ってたのに意外だな。
いつも座ってる席もとられちゃったみたいだし。」
「…?
どうして私がいつもあの席に座ることを知ってるんですか?」
「いつも見てたからね。
なんか気になっちゃって。」
そう言って笑うキミを見て、また好きなところが増えた気がした。
呆れるほど単純な女だ。
「わ…私もです。
あの、いつもこの席に座ってますよね?」
「なんだ、お互い様だったんだ。」
私の人見知りが激しいのは事実で、ましてや好きな人の前では一切話せないほどだった。
だけどどうしてだろう?
キミが優しく話し掛けてくれるから、私もすぐに自然に話せるようになっていた。
縮まるはずのなかった距離が少しずつ縮みはじめた。