ショートストーリー
 
「もしかしてさ。
君って人見知りするタイプ?」

「え?どうして?」

「顔。真っ赤だよ。」


穴があるなら入りたかった。

でも穴がない。

自分でも、顔が更に赤くなっていくのがわかった。

あーもう、恥ずかしい。

「クールな女性かと思ってたのに意外だな。
いつも座ってる席もとられちゃったみたいだし。」

「…?
どうして私がいつもあの席に座ることを知ってるんですか?」

「いつも見てたからね。
なんか気になっちゃって。」

そう言って笑うキミを見て、また好きなところが増えた気がした。

呆れるほど単純な女だ。

「わ…私もです。
あの、いつもこの席に座ってますよね?」

「なんだ、お互い様だったんだ。」







私の人見知りが激しいのは事実で、ましてや好きな人の前では一切話せないほどだった。


だけどどうしてだろう?

キミが優しく話し掛けてくれるから、私もすぐに自然に話せるようになっていた。



縮まるはずのなかった距離が少しずつ縮みはじめた。
< 23 / 100 >

この作品をシェア

pagetop