ショートストーリー
あたしは医者である親を必死で説得して、ある条件と引き換えに美大に進んだ。
大学の生活にも慣れてきた頃に、あたしはあなたに出会ったんだよね。
あの日――
大学の中庭に咲く桜を見ていたあたしの視界に、とても綺麗な顔をした男の人が入ってきた。
整った顔。
肌は女の子のように真っ白に透き通っている。
彼はどこかに向かっているみたいで、少し急いでいた。
目の前を通り過ぎていく彼。
その時――風が吹いた。
彼が持っていた荷物の中から、一枚の紙が飛んでいった。
その紙はあたしの目の前に。
それを拾って見てみると、そこには鉛筆で女の人の絵が描かれていた。
これ…
「あたし?」