ショートストーリー
「あ、有り得ない…」
うん。
こういう状況を言うんだよね。
有り得ないって。
人混みの中、ジュエリーショップから出てきた、男の人と女の人。
一般的に考えれば、ごく普通の光景。
だけど歩いているのは、今日は仕事だったはずの私の彼氏と、私の知らない女性。
「有り得ないでしょ。」
もう一度つぶやいてみたものの、目の前の有り得ない出来事は有り得てしまっている。
幸か不幸か、彼らは私に気づくことなく、腕を組んで楽しそうに歩いていってしまった。