ショートストーリー
 
怒りをどこにぶつけていいかわからず顔をあげると、目の前に立つ男の人。

可愛らしい顔立ちは、マンガに出てくる王子様を連想させた。

しかも笑顔だし。

「あ…あの…。」

「あなた、振られました?」

…は?

「悲しそうな顔してますよ。」

すごーく、変な人だ。
直感でそう思った。



「あたし、怒ってるんですけど。」

「それは強がり。
本当は悲しいんです。」

何なの、もう。

「ほっといてくださいよ。」


「ほっとけませんね。

俺、恋の妖精ですから。」





…は?


「意味わかんない。
有り得ない。」

あ、また有り得ないって言っちゃった。


「わからなくてもいいです。
とりあえず――」
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