ショートストーリー
遊園地もそうだったけど、水族館に来るのなんて何年ぶりだろう。
向こうから歩いてくるあいつを見つけて、私はわくわくした。
「きちんとさよならしたんだな。」
「もちろん。」
「よくできました。」
あいつはそう言って私の頭を優しくなでてくれた。
「俺さ、ショーウィンドウを見つめる君をずっと見てたんだ。
妖精なんてもちろん嘘で、本当はあの宝石店で働いてるんだよね。」
びっくりした?なんて楽しそうに聞いてくるあいつ。
「妖精じゃないことくらい初めからわかってたよ。」
「だよな。
自分でも無理あるなーって思ったもん。
だけど、悲しそうな君の顔を見て、君には笑ってて欲しいって思ったらあんな有り得ない行動してました。」
「本当、有り得ない。」
そんなことを話しながら、お互いにたくさん笑った。