ショートストーリー
早足で歩く私。
隣になんて並びたくない。
「ちょっと…待って。」
突然腕をつかまれた。
「彩音…ごめん。
まさか沙織の妹が彩音だったなんて知らなくて。」
本当に申し訳なさそうに言う颯斗に苛立ちを感じた。
今更になって思い出した。
私達――私と颯斗が別れた理由は、颯斗が親の決めた婚約者と結婚することになったからだと。
だけどそれは、誰も悪くない。
ただ私は運が悪かったのだ。
「あなたは悪くないんだから謝る必要ないよ。」
「俺は彩音を今でも…」