ショートストーリー
「…ありがとう、お義兄さん。」
彼が言おうとしていた言葉が何だったのかがわかるから、言わせるわけにはいかなかった。
きっと私達は、出会ったことが間違っていたのだ。
優しさも、温もりも、まだこんなにはっきりと思い出せるのに、本当に言いたい言葉が言えない。
いや、言ってはいけない。
――今でも愛してる、なんて。
もう、愛してはいけない存在。
彼の手が離れた。
* E N D 、、、