ショートストーリー
「ねえ!起きて!
外、キレイだよ。」
彼女に無理矢理起こされて渋々暖かいベッドから這い出る。
外は一面の雪景色。
朝日に照らされた雪がきらきらと光っている。
「本当、キレイだな。」
そう言って…
彼女に近付こうとするのに足が動かない。
寒いから、ってあいつを抱きしめたいのに手が届かない。
ああ、君はもう、届かない所へ行ってしまったんだね。
何よりも大切だったのに。
「大好きだったのに…」
もう俺の声は届かない。
君はただ、悲しそうな顔で真っ白な雪を眺めている。