ショートストーリー
「好き…なんだよね。」
突然口から零れた。
「え?」
「あ、月のこと。
あたし、月の光が好きなんだよね。」
「そうなんだ。
意外と乙女なんじゃん。」
「意外と、は余計だよ。」
「はーい。」
「……。」
あ、会話が途切れちゃった。
沈黙。気まずいよ。
でも話題が思いつかない。
「あのさ。」
「え?」
「俺の名字、月島。」
突然言われてびっくりした。
「知ってるよ。
表札に書いてあるし。」
「そっか。
お前は月が好きなんだろ?」
「え?うん。」
「俺は星が好き。」
そうなんだ。でも
「それがどうしたの?」
「お前の名字は?」
「星野だけど。」
「うん。お前は星野。
で、俺は偶然にも星が好きだ。」
「…どういうこと?」
「お前のことが好きってこと。」