ショートストーリー
 

いつもの場所で待ち合わせをして、いつもの店で買い物をし、どちらかの家で食事をとる。


付き合って何年も経つ俺達のお決まりのデートコース。


今日は借りてきたDVDを、夕食の後に二人で見た。


いかにもベタな恋愛モノ。

大切な彼女を病気で亡くした男が少しずつ前に進んでくってやつ。



正直、俺は映画よりも、隣でティッシュの箱を抱えて号泣している実和の方ばかりを見ていた。


こういう純粋なとこがすごく好きなんだよな。





「ねえ、啓太郎。」

「ん?」

「あたしが死んじゃっても、泣いちゃだめだよ。」




実和がそんなことを言うなんて、今までにあっただろうか。


「健康なお前が死ぬわけないだろ。」

「だよね。
あたしより先に啓太郎の方が死んじゃうかもね。」



そう言って笑う実和を見ながら、

もしも何かがあっても、俺が守るから。

心の中でそうつぶやいた。
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