ショートストーリー
交通事故。
即死。
実和の友人から掛かってきた電話で知らされた内容には、テレビのニュースや映画でしか聞いたことのなかった言葉が並んでいた。
その言葉ひとつひとつが頭の中を締めつけている。
守る、なんて……
俺は嘘つきだ。
実和を守れなかった。
――あたしが死んじゃっても、泣いちゃだめだよ。
せめてその約束を守ろうとして、俺は病院にも、葬式にも行けなかった。
こんな情けない男が、どうして実和の彼氏なんだろう。
泣くことを我慢して、だけど悲しみはどんどんと増えていって。
夢なら早く覚めて欲しいと、そればかり願っていた。