スキ*キライ【1】




「……わかんないんです」

自分でもわからないのに
佐野先輩にうまく伝えられるはずがない。

本当にわかんないんだもん…。

「そっか。ありがと。ごめんな」

そう言って佐野先輩は優しく頭を撫でてくれた。

佐野先輩が謝ることなんて一つもないのに、
あたしがちゃんと伝えられないのが悪いのに。

謝るべきはあたしなのに。

「うおっ、いつのまにか時間やべーな。そろそろ出るかー」

「は、はい…!」

「俺、奢るから」

「いいです!自分で払います!」

「そういって映画も奢らしてくれなかっただろ?ちょっとくれぇ男を立ててくれたっていいんじゃね?」

「……じゃ、じゃあお言葉に甘えて…。ありがとうございます」

付き合ってもないのに悪いな…。

そうして会計が終えるのを待っていた。

ふいに外を見たその時。

「え??」

信じられない光景が目に写った。



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