スキ*キライ【1】





「日向…」

大人しくなったあたしを
逃がさないように抱き締めた佐野先輩。

「……スキだ」

佐野、先輩……。

少し体が離れた次の瞬間、

「やっ……!!」

キスされそうになって
またあたしは、避けてしまった。

「……こういうことだよな」

「ご、ごめんなさ「体は心より素直ってまさにこれ」

「え?」

佐野先輩を見上げると本当に悲しそうな顔であたしを見つめていた。

こうさせてるのはあたしなんだ……。

「俺さ…本気の恋させてやれる自信あったんだよ」

「……」

「でも、すでにスキなやつがいるのに本気の恋なんてさせてやれるはずがなかったんだよな……」

ち、違う……!!

「先輩のことなんてスキじゃないですよ…!」

「誰も葉山のこと何て言ってないけど?」

「っ!!」

恥ずかしくてかぁぁっと赤くなる。

佐野先輩ははぁーっと大きくため息をつくと

「お前、素直になれよなまじで」

呆れたようにそう言った。



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