スキ*キライ【1】
「ほら、行けよ」
「い、行くってどこに……」
「はぁ??何を今さら…」
「……」
そして佐野先輩はニヤリと笑ってこう言った。
「葉山、さっきいた女と素敵な夜を過ごすことになるんだろうなぁ~。あー羨ましい」
「なっ!先輩はそんな不埒な真似はしませんよ!!」
「はぁ?男は誰だって綺麗な女に誘われたらついていきたくもなるもんだ」
「先輩に限ってそんなことは「ないとはいいきれないだろ?」
な、なんかいつも通りに戻ってるし。
きっとあたしに気を使わせないようにしてるんだろう。
「佐野先輩ありがとうございます」
「おう」
「デート楽しかったです」
「そうだな、俺も楽しかったよ」
もうこれで佐野先輩との関係は終わりなのかな。
なんだか寂しいよ。
「あ、あの……!」
「あぁ??もういいから早く行けっての。今なら間に合うかもしれねぇだろ??」
そうかもしれないけど……。
「……」
「心配しなくても俺はこれからもお前の先輩だから安心しろ」
「!っはい!!」
今日一番の笑顔で頷いたあたしは
佐野先輩に本当に感謝しながら再び走り出した。