スキ*キライ【1】
「……」
ベンチの上でずっと膝を抱えて顔を埋めてた。
こんな顔誰にも見せられない。
「どうしたの~?」
「……へ?」
下を向いていて気づかなかった。
声に驚いて顔をあげると
大学生くらいの兄さんが二人いた。
本日2回目のナンパ遭遇。
「うお!!すっげぇ可愛いねキミ!」
「泣いてちゃ可愛い顔が台無しだよ?」
……顔、あげなければよかった。
「なにかあったならお兄さんたちが力になるよー!」
「いえ、結構です」
サッと涙を拭いてあたしは言った。
「そんなこと言わずにさぁー、」
ほんとめんどくさい。
誰があんたたちなんか相手にするか。
「……あたし人と待ち合わせしてるんで」
「待ち合わせ~?誰と~?」
「彼氏~?」
違うし……、彼氏とかそんなんじゃないし。
「じゃあこんなとこで待ってないで、俺らとそこのカフェ行って時間潰そうよ~!奢るよ」
「結構です。……来たみたいなんで」
「えー?「日向!」
前方に見えた先輩はあたしを見つけると
すぐに駆け寄ってきた。
チラリと携帯の画面を見ると
調度10分になったところだった。