スキ*キライ【1】
先輩はもう一度あたしを抱き締めた。
そしてあたしは何を思ったか
おとなしく抱き締められたままでいた。
「日向、オレ日向のとこに行けって岬ちゃんに言われてここに来た」
や、やっぱり!!
「でもオレ、ここに来たのは言われたからじゃない。日向に話があるから来た」
「…」
「昨日のこと。どうしても日向に言わなきゃって思った」
「い、言い訳なんていらない。聞きたくないです」
聞いたら辛くなりそうでこわい。
先輩はあたしのことスキだっていってくれたけど
不安で不安でしかたない。
これから先言われる言葉で
傷つくのが怖いの。
「ひな「聞きたくない!」
「日向聞いてよ」
「嫌だ!絶対やだ!」
嫌だを言い張るあたし。
「…わかった。ごめんね日向。ちょっと強い言い方するね……」
嫌われる覚悟を決めたようなそんな目をした先輩は
「嫌でもオレの話を聞け」
普段の声よりほんのちょっと低い声でそう言った。