スキ*キライ【1】
「もう!先輩帰ってくださいよ!目障りです!」
「あぁ……、ごめんね。今日はほんとに。朝から気分悪くさせたみたいで」
「わ、分かればいいのよ!!バカ」
うわぁあ!!
なんでこんなことしか言えないの!?
あたし最悪だ!!!
「じゃあ、もう行くね」
しょんぼり戻っていく先輩の背中が
小さく見えて、しまった!と思ったが
言ってしまったものは仕方ない。
みんなの前だ、
尚更言い直すなんてことできないよ。
言い過ぎたことに気づかれないように反省。
先輩はそのまま行ってしまった。
「いいのぉ?葉山行っちゃったわよ?」
岬がまた嫌味ったらしく言う。
「いいの!」
「嘘。本当は今日なんで一緒に帰れないのか気になって仕方が無いくせに」
岬はほんとにすごい。
言うことが図星すぎて、
どうやっても岬には隠し事なんて
できないなって思うよいつも。
また言ってしまった、と
はっとした顔をした岬は
少し申し訳なさそうにこう言った。
「…私さ、べつにあんたを叱って嫌味ばっか言いたいわけじゃないのよ。私はただ……親友なんだからもう少し素直に話して欲しいだけ」
拗ねたような顔をする岬。
そんな顔珍しすぎて
胸にズキンとくるものがあった。
あぁ、そういえばあたし、
気にしてなかったけど肝心なことは
無意識に言わないようにしてたのかも…。
佐野先輩とのデートの時のことも
その後の先輩とのことも
おおまかに話しただけで、
肝心なことは言ってなかったりする。
岬とは、もう3年以上も一緒にいるのに
隠し事なんてできないってわかってるくせに
なんでこんなにも自分のことを話さずにいたんだろう。
岬がいつも何も言わなくても
あたしをわかってくれてたから?
なにそれ、
ただのいい訳じゃない…。
岬からしたら親友なのに壁があるって
思っていたかもしれない。
あたしはなんて最低なんだろう。
自分を守るのに必死で
結局自分のことばっか。