スキ*キライ【1】





「岬、ご…「わあっ!!!」

ドンガラガッシャン!!

ごめんというあたしの言葉を遮って
悲鳴をあげた声の持ち主は
普通に教室に入ってきたくせに
普通になにもないところで
豪快に……転んだ。

「んぁあー!もうヒメ!あんたもしっかりしなさいよ!!」

「ヒメェ、なんでまたなにもないとこで転ぶの(笑)」

呆れ笑いしながらも
あたしと岬はヒメに手を差し伸べた。

「うぅー…おでこも打ったよぅ、イタイ…」

手を掴みながら立ち上がったヒメは
ありがとう、と言っておでこを摩った。

「ちょっ!血!出てる出てる!」

「ふぇ?あー!本当だ!」

摩って手についた血を見て
ヒメは自分のおでこが流血してることに気がついた。

「ほら、絆創膏!貼ってあげるから血流しておいで!」

「うん!わかった!!ごめんねっ!」

慌てた様子で出て行ったヒメ。

次の授業が始まるまであと2分。

真面目な委員長は
絶対遅れるわけにはいかないのだろう。

「あの子、また転けないかしら…」

「それ、あたしも超不安…」

「あはは!」

「ふふっ」

ヒメのおかげであたし達は笑ってしまった。

「岬、ごめん!」

「え?」

先程のことなんて忘れたかのように
キョトンとする岬。

「ちゃんと話すから。だからその時はさ、真面目に聞いてくれる?」

「当たり前でしょ!てゆーか私、いつでも真面目だし!!」

「それはない」

「なにをー!?」

岬とはもちろんヒメも
これからもずっと仲良くしていたいからね!






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